園藝地獄

終わりの見えない植物栽培記

パキコルムス・ディスカラー、季節外れの実生【ついでに個人的な実生方法紹介】

さて、蒔く時期でもないタイミングで買っちゃったパキコルムス・ディスカラーの種を、蒔く時期でもないのになんとなく蒔いちゃおうと思う。

ホントは夏が成長期だから春とか梅雨頃に蒔くのがセオリーなんだけどね。でもいい。気にしない。なんとなくでいい。ドンブリ勘定でいきましょう。

いけるいける!大丈夫大丈夫!

 

せっかくなので僕が今まで試行錯誤してそこそこの成果を出す実生床の作り方も合わせて紹介しようと思います。

基本的にネットの情報を元にして「これでいいんじゃないかな」程度の認識で辿りついた方法なので、仮に真似するにして参考程度にしてもらえるとありがたいです。あくまでも、僕個人にとって楽な方法でしかないことをご承知おきください。

より確実な手段を求める方はもっと別の方法を探るのがいいと思います。いやほんと。

f:id:suzu_take:20161009223749j:plain

まずはこれが今回蒔く種になります。

ウルシ科は初めて育てるので正直よく分かりません。でも実生方法について調べる気もないのでなんとなくでやっちゃいます。多分なんとかなるでしょう。

堅い殻に覆われている種ならこの時点で殻の一部を削るとか、状態によっては休眠打破処理をするべきなのでしょうが、今回は無視します。多分大丈夫。(根拠なし)

 

f:id:suzu_take:20161009223801j:plain

とは言え、それなりに大きめのサイズなので土に蒔く前に水を吸わせることにします。

種類や種の状態にもよるでしょうが、僕は必ず吸水させてから蒔くことにしています。

種は完全に乾燥すると発芽しなくなるらしいので、よほど鮮度がいいもの以外はこうしておくのが無難でしょう。もちろん浸けすぎも良くないのだろうけども。

種をたくさん用意できるのであれば、吸水時間を変えて蒔くことで失敗の可能性を最小限に抑える工夫もできます。

今回は短めに、1時間と2時間のものを用意することにします。後で種を取り出しやすいように口の広い容器を使うと楽でしょう。

 

f:id:suzu_take:20161009223825j:plain

吸水させる際に確認しておきたいのが、種が水に沈むかどうかです。

よく聞く話として、水に沈む種は状態が良く発芽しやすい、浮く種は発芽しにくいというものがあります。実際のところ、水に沈んだから絶対発芽するとかしないとか、そんな簡単な話でもないようなのですが、一応参考までに知っておくと気の持ちようも変わろうというものです。

ちなみに今回沈んだ種は1個だけでした。

 

種の吸水が終わるまで実生床の用意をしましょう。

実生床の容器には、僕はもっぱらプラコップを使っています。

 

f:id:suzu_take:20161009223847j:plain

コンビニやスーパーなど、どこにでも売ってるものですね。

ポリエチレン製の適度に柔らかいやつです。これを二重に重ねて使います。

内側のコップの底に穴を開け土を入れ、外側のコップは水受けにします。容器が透明なので土の状態が一目瞭然ですし、水の量も確認しながら調節できるためとても都合がいい。

 

f:id:suzu_take:20161009223907j:plain

内側のコップの底穴はこんな感じの大きさで5ヶ所に開けています。穴から土がこぼれない程度かつ水がスムーズに抜ける大きさが望ましいでしょう。まぁお好みでいいんじゃないでしょうか。

カッターでサクサク切れるので加工も簡単。うっかり手を切らないように気をつけてください。刃物の扱いに自信がない方は千枚通しでブスブス穴を開けるという方法でもいいと思います。

 

f:id:suzu_take:20161009223935j:plain

穴が開いたら早速土を入れます。

土は3層に分けて入れており、底には水の抜けと保水を兼ねた層、中層は水はけを意識しながら有機質な栄養もある層、上層は種の流出を防ぎ安定させる層、と一応役割を分けているつもりです。

 

上の画像が底部の層。赤玉土鹿沼土を敷きます。量は適当です。保水させたい水分量によって変えていいと思います。保水させる必要がなければ鉢底石とかでもいいはずだし。

粒の大きさは小か中を主に使っています。今回は手元に小粒のものしかなかったのでこれでいってみましょう。

 

f:id:suzu_take:20161009224007j:plain

次に中層。

色々ごちゃまぜにしています。

赤玉土バーミキュライトをメインにして水はけと保水性を維持しつつ、黒土と腐葉土とマグアンプKで養分を加えています。比率も適当。僕は水はけが悪くて根が腐るのが嫌なので、黒土の量を気持ち抑えめにする程度の意識しかしてないですね。

きちんと量ってデータを蓄積すれば再現性も得られるでしょうから、同じ種類を何度も実生する予定がある場合は記録しておくのが一番だと思います。

 

この層の役割のイメージとしては、ある程度成長した根がこの層で養分を得られるようにしておくことで、一年くらいはこのプラカップのままで世話できるんじゃないかなーっていう魂胆です。ズボラ精神全開の発想ですね。楽でいいですよ。(悪魔の誘い)

 

f:id:suzu_take:20161009224033j:plain

そして上層。

小粒の赤玉土をふるいにかけて得られた極小粒を使います。およそ2mm程度の大きさの粒ですが、これより小さい粒だと水を吸って粘土のように硬くなって根が潜りにくくなる弊害が出てきます。なのでこのくらいが使いやすいんじゃないかなーと。芝目土を使う人もいるみたいですよ。

もちろんコノフィツムの種のようなホコリ並のサイズしかない場合はもっと目の細かい粒じゃないと粒の隙間に種が流れてしまうので、この粒の大きさが一番いいとは一概に言えませんが。

今回はこれでいいでしょう。

 

f:id:suzu_take:20161009224108j:plain

 土の表面は平らにしておくと種が安定してくれるので要らないスプーンの背とか適当な棒とか指とかで均しておきます。

厳密に平らにしろ!というわけではないですが、あんまり凸凹のままだと水やりの度に種が流されてしまって面倒くさいんですよね。根が張るまでの期間の事とは言え、ストレス要因はなるべく減らしたいものです。

 

さてここまで来たらあとはプラカップをもう一つ重ねて種を蒔いて水やりすればいいだけ!といきたいところなのですが、実生において大事なことの一つが滅菌状態を保つこと。今のままでは土が雑菌だらけで、このまま種を蒔いてもアッと言う間にカビが生えて即終了です。

ですのでここは落ち着いて殺菌処理をします。ここも人によって違いの出るところで、確実に殺菌したいという人は、殺菌剤を溶かした水をバケツにたっぷり溜めて、そこに実生床をまるごと沈めて一晩寝かせてみたりとか、土を電子レンジでチンしたりするそうです。すげえ。

 

f:id:suzu_take:20161009224132j:plain

僕はそこまでする気はないのでベンレートを水で溶かしてカップの底に滲み出るくらい霧吹きしてます。二重にしたプラカップの間に水が溜まっているのが分かるでしょうか。土の底が水に触れていれば、土が乾燥すると同時に吸水される腰水状態になるので水加減をこまめに調整する手間が省けます。このために底の土を鉢底石ではなく吸水性のある赤玉土にしているのです。全ては楽をしたいがための選択です。

 

f:id:suzu_take:20161009224208j:plain

全体像はこんな感じ。

あとは種を蒔いて、種も殺菌した上でラップをかけて終了です。

 

f:id:suzu_take:20161009224233j:plain

蒔いた種の種類以外にも吸水時間や日付などを書いておくと何かと便利なのでオススメです。

さーてこれで大人しく発芽してくれるかなあ、パキコルムス。一週間くらいかかるかなあ。一ヶ月かなあ。冬に備えておかなきゃなあ。

 

 

最後になりますが、実生に必要な要素をまとめておきます。

大きく分けて3つ。

①滅菌状態の維持

カビが生えれば即終了ですので、毎日殺菌剤を溶かした水で殺菌しましょう。アルコールや台所用ブリーチを薄めて使う猛者もいるとか。

②発芽に適した温度の維持

温度は常に一定に保ちましょう。なので春か秋の安定した気候に播種するといいでしょう。(もちろん種類によって適切な時期は異なります)

温室を使うなどして人工的に温度を保つのも有効です。

③高湿度の維持

これもなかなか面倒ですが、そのためのラップです。土の色をよく見て乾燥状態を観察し、乾いてしまうことのないようにすることが必要です。

 

あとは陽の光に当てないと発芽しない種類とか、逆に光に当てると発芽しない種類とかあったりするので、そのあたりは個別に調べて対応するしかないですね。ああなんて手間のかかる……。

 

 

それからもう一度念押ししておきますが、ここまで書いてきたことはネットの情報を元にして自分なりに考えた方法であって、専門的な知識から導き出したものではないということです。この方法を真似して上手くいかなくてもそこはそれ、自己責任ということで。ノークレームでお願いします。転んでも泣かない精神が肝要です。

 

まぁ失敗も含めて園芸の醍醐味だと僕は思っているので、自分の納得のいくように楽しめたら手段なんてなんでもいいように思います。(ある程度のセオリーはあるにせよ)

 

以上、おしまい。